本稿の内容は2025年8月現在の情報に基づきます

機体重量が100g以上のドローンを屋外で飛行させるためには、「機体情報等の登録」「操縦者の登録」「飛行許可の取得」「飛行計画の登録・確認」が基本的に必要です。そして、これらの航空法に基づいた手続きを完了していたとしても、飛行前に必ず以下について別途確認することが重要です。
 ≪地方自治体の条例で飛行禁止または制限地域になっていないか?≫
 ≪海上保安庁や(公園/森林/河川)管理事務所などへの届出や許可が必要か?≫
 ≪発着場所が路上の場合など、警察署に道路使用許可申請が必要か?≫
 ≪地権者・建物管理者の承諾が必要か、また近隣への事前周知が必要か?≫
なお、重量が100g未満であっても、国の重要施設空港の周辺を飛行することは法令で厳しく規制されているため、警察や空港管理者への事前通報や許可が必要です。

屋内での飛行(体育館や倉庫内などで、観客や他の利用者などの第三者がいなければ)は、飛行許可は不要です。ただし、この場合、全ての窓と扉を閉めたり、丈夫な網で完全に区切るなど、ドローンが決して屋外に出ないような空間でなければなりません。

1.機体情報等の登録

 航空法により機体の重量が100g以上のドローンは、航空局に「機体情報」及び「リモートID(識別番号発信器のようなもの)」の登録が義務付けられており、もしも、無登録の機体を飛行させたときは、罰則が適用される可能性があります。なお、この「重量」とはドローン本体及びバッテリー重量の合計を指しており、バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まれないとされています。

航空法の条文から一部抜粋

(登録の一般的効力)
第百三十二条の二 無人航空機は、無人航空機登録原簿に登録を受けたものでなければ、これを航空の用に供してはならない。ただし、試験飛行を行うことにつきあらかじめ国土交通大臣に届け出ている場合その他の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。

(無人航空機の飛行等に関する罪)
第百五十七条の七 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第百三十二条の二の規定に違反して、無人航空機を航空の用に供したとき。

2.操縦者情報の登録

飛行許可の取得が必要な飛行を行う場合は、全ての操縦者情報を航空局に登録します。
民間技能認証を受けている場合はその情報を登録し、技能認証を受けていない場合は「操縦者の基準の適合性」に関する設問に回答します。

3.飛行許可の取得

下記の何れか一つでも該当するときは、航空局への飛行許可・承認手続きが必要です。

規制対象となる空域規制対象となる飛行の方法
・空港等の周辺を飛行するとき
・人口集中地区の上空を飛行するとき【DID地区】
・緊急用務空域を飛行するとき
・150m以上の上空を飛行するとき
・夜間に飛行をするとき
・目視外での飛行をするとき【FPV飛行】
・人又は物件と30m以上の距離を確保できないとき
・催し場所上空での飛行をするとき
・危険物の輸送をするとき
・物件(荷物/農薬など)の投下をするとき


画像引用元:
国土交通省HP ホーム>政策・仕事>航空>無人航空機の飛行許可・承認手続 
(リンク先は2025年8月現在のものです)
空港周辺及び150m以上の上空
航空機(飛行機、ヘリコプター、グライダー、飛行船などの人が乗っている機体)の航行の安全の確保と、ドローンの飛行に起因する障害の防止を図るため、この空域を飛行する場合は、飛行許可申請が必要です。

人口集中地区の上空(通称:DID)

ドローンが落下した場合に、地上の人や家屋に危害を及ぼす可能性が非常に高いことから、たとえ自ら所有する敷地内であっても、飛行許可申請が必要です。
 ※DID…Densely Inhabited District(人口集中地区)の略。国勢調査に基づいて設定される統計上の地域区分

緊急用務空域

災害発生時や大規模事故などにおいて人命救助や災害対策活動を円滑に行うため臨時に設定される空域です。この空域が設定されると、救助活動や復旧作業を行うものを除いて、航空機及びドローンの飛行は禁止されます。

飛行の方法内容注意点
夜間での飛行日没から日の出までの間に無人航空機を飛行させることをいいます。「日没」と「日の出」の時刻は、国立天文台が発表する各地域の時刻が基準となります。したがって、たとえ空が明るくても、日没時刻を過ぎていれば夜間飛行とみなされます。

なお、人口集中地区の上空での夜間飛行は、原則として禁止されています。
目視外の飛行操縦者が自分の目で機体を直接見ることができない状態での飛行を指します。


典型例は次のような場合です。
・遠くまでドローンを飛ばし、肉眼では見えなくなった場合
・機体に搭載されたカメラの映像をモニターで確認しながら操縦する場合
・FPV(First Person View)ゴーグルを装着して操縦する場合
・建物や障害物の陰にドローンが入り、直接見えなくなった場合
・補助者がドローンを目視していても、操縦者本人が目視できていない場合

なお、人口集中地区の上空での目視外の飛行は、原則として禁止されています。
人又は物件と距離を確保できない飛行人または物件との間に30m以上の距離を確保できない飛行を指します。ここでいう「人」と「物件」には、以下のような定義があります。

: ドローンを飛行させる操縦者や、飛行に関わる補助者、依頼者などの関係者以外の者(第三者)を指します。通行人や、イベントの観客などが該当します。

物件: ドローンを飛行させる者やその関係者が所有・管理していない、第三者の所有する建築物(家屋、ビル、倉庫など)や人工建造物(電柱、鉄塔、アンテナ、電線など)及び自動車、鉄道車両、船舶などを指します。

人工建造物のない土地(田畑や道路など)は原則として物件には含まれませんが、第三者が行き交う道路の周辺を飛行する場合は、飛行許可が必要です。
催し場所上空での飛行特定の場所と日時に計画的に開催されるイベントであって、主催者の意図によって多数の人が集まることが予定されているものを指します。催し場所上空でドローンを飛行させるための許可を得るためには、極めて高度な安全確保措置が求められます。
危険物の輸送火薬類、高圧ガス、引火性液体など、人や他の物件に危害を及ぼすおそれのある特定の物件を運ぶことを指します。これらの許可を得るためには、安全性を確保するための様々な要件を満たすことが求められます。
特に、農薬の空中散布は、「危険物の輸送」と「物件投下」の両方に該当するため、より厳格な安全基準を満たす必要があります。
物件の投下飛行中のドローンから何らかの物件を地上や水上に意図的に落とす行為を指します。

4.飛行計画の登録と確認

特定飛行を行うドローン操縦者は、他の機体との衝突を避けるため、飛行前に毎回、国土交通省のドローン情報基盤システム(DIPS)飛行計画を登録しなければなりません。そして、自分の飛行ルートと他のドローンの飛行情報(日時、経路、高度など)が重なっていないかを必ず確認しなければなりません。