締結日から長期間が経った契約書の管理

ユキマサくん11月

 契約内容を守ることは相手との信頼関係を維持するために欠かせません。ですが長期間運用しているあいだに市場変化や法令改正に対応するため契約の更新や変更が必要になる場合があります。契約の更新や変更を行うと当事者間の約束事が変更されるため、変更が法的に合理的なものでなければ、問題や紛争が生じる可能性があります。

  1. 原本は日頃から整理して管理する
    日頃から原本の保存場所やアクセス方法を確認し、必要なときに容易に取り出せるようにしておくことは重要です。なぜなら契約内容を変更する際は、現在の契約内容と比較して、新たな契約期間や条件の変更が発生したことを明記した「新旧対照表」を作成するからです。
    「新旧対照表」は変更の必要性を当事者同士で共有し、合意したうえで変更内容を明確にするために必要なものです。
  2. 契約内容を見直すときは、先ず「更新」と「変更」のどちらの方法にするかを決める
    契約内容を見直す方法として、原本を全部失効させて新たな契約を締結する「更新」と、原則として原本の効力を残したままで変更部分についてのみ合意する「変更覚書」の締結があります。
    実務では変更箇所が多ければ「更新」、少なければ「変更覚書」の締結の方法で進めます。いずれにせよ、変更内容を具体的に記載し、両当事者が同意した上で正式な手続きを取ることが必要です。
  3. 慣習に従うことも重要
    契約の更新/変更方法には、業界慣習として一般化された手順や形式がある場合もありますので、それに従うことも大切です。慣習に従った手続きを適切に行うことで、当事者間での信頼関係を保ちながら、手続きを円滑に進めることができます。面倒な手間のように感じられるかもしれませんが、更新/変更が法的に合理的なものであると主張するためには慣習に従うことも避けられないものです。